【ごあいさつ】PR/広報領域に特化したライター・編集者のコミュニティ「トナリノ広報部」、始動しました。

トナリノ広報部、始動しました。

こんにちは。大島悠と申します。

2018年夏まで「企業広報支援ライター」と名乗り、企業の広報活動につかうツールの制作や、コンテンツの執筆をなりわいにしておりました。

現在は法人化し、中小企業の広報・編集パートナーとして事業を模索しています。

このたび、信頼している同業のメンバーに声をかけ、PR/広報領域に特化したライター・編集者のコミュニティ「トナリノ広報部」を立ち上げました

今回は言い出しっp……いや、一応の発起人として、コミュニティ立ち上げの背景について書いておくことにします。

少々長くなりますが、よろしければお付き合いくださいませ。

 

「いいライターはどこにいるの!?」企業の方の嘆きを受けて

ここ数年、企業の方が「書き手」を必要とし、直接、ライターを探すケースが非常に増えています

あらゆるステークホルダーに向けた定期的な情報発信が、今や欠かせない企業活動の一つになっているからでしょう。

しかし実際に企業とライターが共に仕事をしてみると、クオリティや専門領域、フォロー範囲、仕事の仕方などでミスマッチが多発してしまう……。わたし自身、そんな状況をたくさん目にしてきました。

▲ライターによって、得意分野が一人ひとり違う。一人のライターが「すべてカバーできる」わけではない。

 

—–

「いいライターがいない!」という企業の方の嘆きの声。何年たっても解消されることなく、ニーズが高まれば高まるほど、企業側とライターのあいだにある溝が深まっているような気さえしています。

ただし、「それはある意味、当然」なのだと、わたしは思っています。双方、いまの状況では。

 

ライター・編集者は「限られた世界」の職業だった

そもそもライターや編集者は、かつてその大半が出版やメディア業界の中でのみ、生息していた職業でした。

出版・メディア業界のビジネスモデルや収益構造、商習慣、さまざまなルールは、業界内で長年にわたり培われてきた独自のもの

そのため、他業界のビジネス感覚とは乖離があるケースがとても多いんですよね。業界の中の常識が、一歩外に出てみると通用しない。

ライターと呼ばれる人たちがこれまで、どのビジネス領域でどんな役割を果たしてきたのか。

業界ではいかなる理由で、どのような役割分担が行われているのか。

どんな仕組みの中で「プロの書き手」が育成されてきたのか。

そうした「ライターの主な仕事内容」は、一般的にはほとんど知られていません。

ゆえに企業の方と直接仕事をすると、「プロのライターさんなんだから、ここまでやってくれるでしょ」と、非常に広い範囲の役割を想定されていることが多々あります。

▲企業の方、ライター双方からよく聞くトラブルの大半は、この「すれ違い」に原因があることがほとんど。

 

—–

たとえば、企業の仕事では「編集者不在」「校正・校閲不在」なんて日常茶飯事。というかその方が当たり前。

ふわっとした依頼の要件整理にはじまって、編集やディレクションはもちろん、企画構成やタイトル・見出し付け、校正・校閲。

ときにはデザイナーへの指示出しやラフの作成、細々とした進行管理、さらにはマーケティング戦略にもとづいた提案などまで……。

でも正直「ライター」と名乗っている人の中で、そこまですべて完璧にフォローできる人は本当に少ないと思います。

それも当然といえば、当然なんです。これまで、どの業界でも機能していなかった職域なんですから

まずはここが、ミスマッチの大きなポイントになっていると感じます。

 

「何でもカバーできるライター」がいれば解決するのか?

だからこそ、これから企業の方と一緒に仕事をするライターは、編集やディレクションの視点を身につけるのはもちろん、経営をはじめマーケティング、広報、営業、採用などに関するビジネスの知見や実力を養うべき——なのでしょう。

ある側面では、その通りだと思います。

企業経営について理解し、ビジネスに必要な知識を得る努力をする。企業と対等な立場で仕事をするうえで、そうした姿勢は必須です。

(そしてここは、今後コミュニティ内でも取り組んでいきたいところです)

 

……しかし一方で、「ハードルを上げすぎても、一向に書き手が増えない」という危惧を覚える点もあります。主に、編集やディレクションとの役割分担について。

理由は2つあります。

まず1つ目。基本のライティング・スキルだけでも、身につけるにはそれなりのハードルがあるからです。

たとえば以下の要件をすべて満たしていて、安心して企業案件を任せられるライターは、現状でも正直それほど多くありません。

  • 目的に応じた情報収集、リサーチができる
  • 経営者等に対しても、適切な取材やヒアリングができる
  • 企業側のオーダーに応えられる(細かなニュアンスの翻訳)
  • 世の中に出しても恥ずかしくないクオリティのテキストを執筆できる

 

そして2つ目。これは自分自身の経験もあってなのですが、編集・ディレクションと、ライター(その他のクリエイターもそうじゃないかな)の役割を兼ねるのはなかなか困難だから。

(もちろん、できる人はどんどんやった方がいいと思っています!)

▲企業側が編集機能をもつのも、ライターが編集領域をカバーするのも、正直、あまり現実的ではない気がしています。

—–

わたし自身が考えている、「編集者の仕事」は以下の通りです。(果たしてこの役割を「編集者」と呼ぶのがよいのか、新たな肩書きを考えた方がいいのか、考えていきたいところではありますが)

  • 対等な立場で企業との交渉ができる
  • プロジェクトマネジメントができる(進行管理できる)
  • 単体のコンテンツだけではなく、発信全体を俯瞰してコミュニケーションポイントの設計ができる
  • ただの発信者ではなく、企業カルチャーの醸成を担う(意識する)
  • 何をどの軸で発信すべきか、情報発信の要件定義ができる(誰に何を伝えるのか、その後どうしてほしいのか……など)
  • 成果に応じた改善提案ができる
  • 客観的な目線から、アウトプットのクオリティ管理ができる

 

……ハイ、だんだん胃が痛くなってきました。(←編集者的な仕事をしている人)

 

このようにちょっと挙げてみただけでも編集仕事は非常に多岐にわたるわけですが、最も重要だと思うのは、「発信全体の設計」「客観的な目線でのクオリティ管理」です。

どんなにすばらしいライターでも、俯瞰で全体の発信を設計したり、自分で書いた文章を自分で客観的に判断したりするのは至難の技だから

そのため編集者=ライターで役割が同化してしまうと、客観性が失われてしまう可能性が非常に高いと思います。企業の広報領域で、それは致命的といえるのではないか、と。

 

で、結局いま必要なことは何なのか

企業が求めることに対して、必ず「編集者」的な役割を担う人が介在し、ライターは「書き手」としてアウトプットに専念する。

個人的には、健全なマーケットをかたちづくっていくためにも、それぞれが分業してお互いに専門特化していった方がよいと考えています。

しかし広報×編集・ライティングの領域には、出版業界のように母体となる出版社や、人を育成できる仕組みがほとんどありません。このままだと、永遠に課題は解決されない。

 

本当に課題を突き詰めていったら、日本の国語教育を根本から変革しないといけない気もしていますが(笑)。

それが究極のゴールだとしても、専門職としてのライター・編集者が社会の中でどんな価値を発揮できるのか、実績をつくり、もっと理解してもらう段階も必要じゃないかな。

現状をふまえると、何をするにしても、どんな選択をしたとしても些細な一歩すぎて気が遠くなりそうです。でも、何もしないままグチをこぼし合っているよりは、何かを前に進めたいと思いました。

そんな小さなちいさな気持ちから、生まれたのが「トナリノ広報部」です。ひとまず、個人で点在している人たち同士、つながるところからはじめよう、と。

 

現在地と、「トナリノ広報部」が目指すこと

エラそうなことを長々と語ってきましたが、2019年5月時点で、「トナリノ広報部」として実現しているのは、メンバーが集うSlackチャンネルを開設したこと、仕事を受ける窓口としてこのサイトを開設したこと、この2つです。(道のりは長い)

 

1)メンバーが集うSlackチャンネルを開設

ライターや編集者は企業に属さないフリーランスが多いうえに、PR/広報領域の同業者はまだまだ少数。そのためなかなか相談相手がみつからないなど、どうにも仕事がハードモードになりがちです。(何を隠そう、わたし自身もそうでした)

そこでひとまずは、ちょっとしたことを気軽に相談したり、情報交換をしたりする場として、 Slackチャンネルを半年ほど運用してみております。

ここで生まれる雑談やディスカッションを起点に、いろいろな活動を展開していきたいです。

 

2)仕事を受ける共通窓口を開設

出版・メディア業界の中であれば知人の紹介、編集者同士のネットワークなどで仕事がつながっていくのかもしれません。しかし、私たちが仕事をしたい人たちは「一般企業」の中にいます。

必要としてくれる人たちとのコンタクトポイントを作るには、なかなかどうして労力がかかります。

そこで、Webマーケティングを念頭に置いたサイトの運用、コンテンツの作成などをコミュニティ全体で行っていくことにしました。

誰でも登録できるマッチング・プラットフォームではなく、信頼できるメンバーのみで運営していくことで、仕事のクオリティも担保できると考えています。

 

3)今後の予定

やりたいこと、たくさんあります。

いずれはメンバーを増やし、企業活動に確実に貢献できるライター・編集者のコミュニティとして拡大していくことを考えています。まだ妄想レベルですが。

 

ひとまず、今年は定期的に次のような活動をしていきます。(予定)

  • メンバー+αで、さまざまなテーマのビジネス勉強会を実施
  • コミュニティのコンテンツとして、企業の方に活用いただける情報を発信

 

当面は現在のメンバー4人でディスカッションしながらコミュニティの軸を固め、試行錯誤しつつ仕組みをつくっていく予定です。なかなか長い道のりになりそうですが、長い目であたたかく見守っていただけると幸いです。

 

—–

※2019年5月現在、新規メンバーの応募は受け付けておりません。いずれ次のフェーズへ進む予定ですので、ご興味を持っていただいた方は、よろしければ気長にお待ちください。

—–