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【イベントレポート】「誰に向けて届ける?」ステークホルダーを分解して考えるワークショップー「広報の基本」をあらためて振り返る!

2020年6月10日、PR/広報領域に特化したライター・編集者のためのコミュニティ「トナリノ広報部」が主宰するワークショップを実施しました。その模様を、一部ダイジェストでお届けします。

【イベントページ】https://tonarino.work/event/200610/


 

ーーそもそも「ステークホルダー」って何だっけ……?

「広報活動における、“ステークホルダー”と“ターゲット”はちがう」——そういわれて「だよね」とすんなり納得できる方、どのくらいいるでしょうか。

Public Relations(PR)=「ステークホルダーと良好な関係性を構築すること」。みなさん、そんなことは百も承知かもしれない。

ただ、実際に企業として発信をするうえで、誰に向けてどんな風に、どのようなメッセージを届ければいいのか。その肝心なステークホルダーが一体どんな人たちなのか、明確にイメージできていないケース、意外と多い気がしています。

ステークホルダーそのものに対する理解を深めることで、コンテンツ編集の仕方やライティングの手法だけではなく、自分たちのメッセージを誰にどう届けていくか、さまざまな道すじが見えてくるはずです。

今回は、企業や事業の広報担当者がそれぞれのステークホルダーをあらためて整理し、俯瞰して見てみることで次の広報戦略施策を導き出す、というワークショップを行いました。

 

▲ワークショップは、zoomを利用してオンラインで開催。
初のワークショップ開催となる今回は人数を限定し、9名の方にご参加いただきました。

 

ゲスト/ファシリテーター

株式会社きてん企画室 代表 中田 一会(なかた・かずえ)さん

1984年東京都生まれ。武蔵野美術大学芸術文化学科卒業後、IT関連出版社にてIR(投資家向け広報)と書籍の企画編集を担当。その後、2010〜2015年まで、株式会社ロフトワークのPR兼コミュニケーションディレクターとして勤務。広報PR、ブランディング、メディア運営、地域プロジェクトのコミュニケーション設計等を手掛ける。2015年~2018年まで公益財団法人東京都歴史文化財団 アーツカウンシル東京に在籍し、プログラムオフィサー兼コミュニケーション・デザイン担当。2018年4月より独立し、きてん企画室を開業。伝えることを見つめ直した広報戦略設計や企画制作を手がける。
https://ki-ten.com/

 

「トナリノ広報部」ホスト

合同会社ほとりび 代表 大島悠

1983年生、2006年 筑波大学卒。雑誌制作会社、企業広報専門のデザイン制作会社(ディレクター職)を経て、2013年に独立。以降、フリーランスの「企業広報支援ライター」として、BtoBビジネス領域の広報ツール、各種コンテンツの編集・制作に携わる。2018年7月に法人化。
https://hotori-bi.com

 

まずは、ステークホルダーのおさらいから。
広報コミュニケーションで、誰に、何を、どのように届ける?

大島悠(以下、大島):広報/PR領域の仕事では「ステークホルダーとの関係構築が重要だ」と言われますが、そもそもステークホルダーにはどんな人たちがいるのか、改めて見つめ直してみる機会って、実はあまりなかったりしますよね。

今日は中田さんとのワークを通して、みなさんの会社や事業、サービスにはどのような「ステークホルダー」がいるのかを分解し、広報戦略を立てていくうえで実務に活かせる機会になればと思っています。

中田一会さん(以下、中田):まさかのニッチなテーマにお集まりいただきありがとうございます。

今日はワークに入る前に、まず「ステークホルダー」とはどういった人たちを示しているのか、その意味をきちんと抑えておきたいと思います。

ステークホルダーとは、「組織に対して直接的・間接的に利害関係を持つ人々のこと」

「ステークホルダー」というと、はじめに顧客の方々を思い浮かべることが多いと思うのですが、社員や発注先、会社がある地域住民の方々なども重要なステークホルダーにあたります。あるいは、属している業界の関係者や株主の方、寄付者などもそうですね。

企業や団体などの組織に関わっているステークホルダーを思い浮かべて、「一体誰が周りにいるんだろう?」というところを書き出して、今日はその全体図を眺めていきましょう。

 

 

中田:組織にとってステークホルダーが大事なのは言わずもがなですが、広報活動にとってどんな大事な意味を持つのか、もう少しおさらいさせてください。

広報活動には、さまざまな企画や施策があります。予算や手段、スケジュールなどの制約条件から考える広報活動ってちょっとつまづくことが多いと思うんですよね。

そうではなくて、もう少しキャッチボールをしている先の相手を見て何をするかを考えるべきなのではと、私自身も常々問題意識を感じています。

 

 

中田:キャッチボールをするとき、相手が上級者ならスパッと早い球を投げられると思いますが、初心者が相手の場合はゆっくりと大きなボールで大きな弧を描いて投げると思います。

相手との距離が近いのか、遠いのかによってもボールの投げ方は違ってきますし、アイコンタクトができているか、できていないかというのも大事ですよね。

広報コミュニケーション活動でも同じように、キャッチボールをするときには何をどうやって届けるか、誰に届けるかということが大事で、それぞれに合った投げ方でボールを投げていくことが重要です。

だから、組織のステークホルダー(=ボールを投げる相手)をまずは見渡してみようというのが、今日の主旨です。

 

的確に相手に届けるため必要なことは? 2つのワークを通して考える

 

 

ーーこの日行ったワークは2つ。まずは、「ステークホルダー図」を描いてみるワーク。そして、それを描いた後にできそうなことを洗い出してみるワークを行いました。

中田:ステークホルダー図を描いていく前に、描くポイントをお伝えします。

 

 

ステークホルダー図は私のオリジナルのものではなく、私が去年企画・運営していた勉強会にお招きした認定NPO法人D×Pの広報・ファンドレイジング部、経営管理部の部長をされている入谷佐知さんという方に教えていただいた図です。もともと日本ファンドレイジング協会のステークホルダー図をもとにされているそうです。

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▼参考記事
ジムジム会 #03レポート「打って出る/NPOの届けかた・つなぎかた」
https://www.artscouncil-tokyo.jp/ja/blog/40282/

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このステークホルダー図は感覚的にもすごく使いやすくて、普段のお仕事でも活用しています。

画像にあるステークホルダー図は、きてん企画室のものです。

これでもざっくりと描いたのですが、「パートナー」や「SNSフォロワー」という描き方ではなく、「何々時代のパートナー」や「noteのフォロワー」、「Twitterのフォロワー」という感じで、具体的に項目を出すことがポイントです。

組織によってその粒度の違いもあると思いますが、例えば、社員さんが10人なのか1,000人なのかなどによっても書き方が違ってくると思います。

そして、もう一つのポイントが距離を意識すること。そのステークホルダーが近いところにいるのか、それとも遠いのか、ぜひ意識して描いてみてください。

大島:今回、サンプルとして自分の会社のステークホルダー図を描いてみました。会社の周辺に何人くらいどんな人たちがいて、どのくらいの距離があるのか、意外と把握していないことに気が付きました。

 

 

中田:「noteフォロワー2万2,000人」ってさすがですね……!

大島:それなんですが、実は、一時期なぜか変な増え方をしたことがあって……記事を読んでフォローしてくれた人たちというよりも、おそらくですが「おすすめアカウント」みたいにどこかに表示されたんじゃないかと思うんです。だから、人数は多いけど距離的にはだいぶ遠いんですよね。

中田:なるほど。まさに、つながり方で距離を掴むのがポイントですよね。

細かいところですが、「パートナー」を一括りにせずに、「パートナー」と「パートナー応募者」と分かれているのがいいですね。また「取材対象者」の方も確かにステークホルダーですね!

実際に描いてみていかがでしたか?

大島:思っていた以上に時間がかかりました。まずは、普段やりとりをしている接触頻度の高いステークホルダーを近い位置に書いて、そこから数珠つなぎのように書き連ねていくとより具体的な図が作れるんじゃないかと思います。

中田:具体的に細分化させてプロットしていくには時間がかかりますが、今回はいけるところ書いてみましょう!

 

広報施策の立案、優先順位付けなどに役立つ「ステークホルダー図」

 

ーーワークショップでは、実際にみなさんに書いていただいたステークホルダー図を発表し合い、どのようなステークホルダーがいるのかをその場で共有しました。

 

大島:みなさんのステークホルダー図を見ていくと、組織によってステークホルダーが全然違うことが改めてわかりますね。

例えば一言で「見込み顧客」と言っても、「広告をクリックしてくれた人」「メールマガジンに登録してくれた人」など細分化することで新たな発見もある。

あとは、同じ社員さんでも、「新しく入社された方」と「長く働いている方」を分けて位置付けていらっしゃったのも面白いです。

中田:細分化して作られたステークホルダー図は、広報施策の優先順位をつけることにも役立つと感じています。

 

ステークホルダー図を眺めてみると、「あの手この手」が思いつく

 

ーーみなさんに書いていただいたステークホルダー図をもとに、本日2つ目のワークに入っていきます。

 

中田:ステークホルダー図を眺めてみると、ステークホルダー同士がどのようなつながりを持っていて、お仕事の依頼が多い導線がどこか、などが見えてきます。それが広報活動のヒントになります。

そこでのつながり方を見たうえで、「できそうなことリスト」を作ってみましょう。

きてん企画室の場合、このときは「どうやったらお仕事が増やせるだろう」と考えていたこともあり、お仕事をご依頼いただく経路を重点的に見直していきました。

 

 

その中で、例えばウェブサイトを経由して依頼してくださる方がいるのであれば、ウェブサイトをもっとわかりやすくした方が良いのではないか。過去のパートナーさんたちから依頼があるのなら、より思い出してもらうために定期レターをはじめてみようかなど、次にやるべきことを導き出していきました。

みなさんも、「実現可能なことか?」「優先順位が低いかも?」などの細かいことは考えず、思いついたものから書き出してみてください。

「この人(=ステークホルダー)に届けるならどういう方法が最適か」と考えていくことが重要です。

 

 

一人でも、チームでも。「ステークホルダー図」活用のポイント

 

ーー再び、ワークで書き出した「あの手この手」をみなさんにシェアしていただいてから、最後に、改めてステークホルダー図を実務で活かすためのポイントをおさらいしました。

 

中田:とても時間がかかると思うのですが、ステークホルダー図はできる限り詳細に書き出していくことが重要です。

そのうえで、例えば、「現在のステークホルダー図」と「未来の理想のステークホルダー図」を書き出して、2枚の図を照らし合わせてみたりすると、より戦略的に広報コミュニケーションの施策を練っていくことができます。

さらに、チームで洗い出していくのも効果的です。メンバーで話し合って、「今できること」「3年後くらいならできること」を分けて考えてみるのもいいかもしれません。

 

 

大島:今日のワークショップでは、みなさん施策への落とし込みまでしっかりとできていたので、これから実務で活用いただいて展開してくださるのが楽しみですね。

 

ワークショップを振り返って

ワークショップを振り返ってみると改めて、ステークホルダーは組織や企業ごとに異なることが明確になったと感じます。組織や企業を取り巻く人々を細分化し、一人ひとりとの距離を把握することで、情報の届け方はさまざまにあると認識することができました。

情報を伝える側に立ったとき、相手の状況がクリアに見えることで、的確な判断ができると確信できた方も多いのではないでしょうか。

約1時間半という限られた時間ではありましたが、今回行ったワークショップは実務の現場でも取り入れることができますし、一人の時間に改めて取り組んでいただけたらと思います。

そして、今回ご参加いただいたみなさまから広報領域での活動に対する意欲を感じました。トナリノ広報部では、これからも広報領域に関わる方々の自信や行動につながるイベントを作っていきたいと思います。

今後もこのような形でオンラインでもワークショップを企画していきますので、今回参加が難しかった方も、次の機会にぜひご参加いただけるとうれしいです。

 

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▼今回のワークショップのスライドはこちらからご覧いただけます。

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◆イベント概要

開催日 2020年6月10日(水)19:30-21:00
開催方法 Web配信(zoom使用)
料金 2,500円
イベントページ https://tonarino.work/event/200610/

 

report by Mami Otani

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