採用を目的として自社発信を行うとき、どんな内容のコンテンツをそろえればよいのか、迷う企業の方も多いと思います。
今回は、採用広報で必要となる基本のコンテンツについて、6つのキーワードで整理してみました。
企業の方はもちろん、ビジネス領域で活動するライター・編集者のみなさんも、コンテンツの企画提案の際に参考にしていただければと思います。
基本のコンテンツ
最低限、自社発信のコンテンツとして必ず網羅しておきたいのは、以下6つのキーワードに言及するものです。
1:「会社として目指していること/存在意義は何か」
2:「会社のトップはどんな人か」
3:「どんな事業を展開しているのか」
4:「一緒に働くメンバーはどんな人たちか」
5:「どんな価値観が大切にされているか」
6:「現状、抱えている課題はなにか」
この6つのキーワードについて、端的にまとめられた、求職者の方にすぐ提示できるコンテンツはありますか? もしひとつでも欠けているものが場合は、発信内容を見直す余地があります。
ではそれぞれ、詳しく説明していきましょう。
キーワード1:「会社として目指していること/存在意義」
会社としてどんなビジョンを掲げていて、この先なにを目指しているのか。社会の中でどんな役割を果たすために存在しているのか。これから入社する人にとって、最も大事な情報です。
ただ、ここで勘違いしてほしくないのは、必ずしも気が利いたキャッチコピーのようなものが必要なわけではない、ということです。大切なのは、会社として「何を目指しているのか」「どんな役割を果たそうとしているのか」が伝わるかどうかなので、長文のメッセージでも、動画でも、形は何でもOKだと思います。
<コンテンツ例>
・ストーリー(なぜそれを目指しているのか/時代背景など)
・トップインタビュー(なぜそれを目指しているのか/個人の思い)
・活動実績(ビジョンを実現するためにどんな活動をして、現時点でどんな実績があるのか)
キーワード2:「会社のトップはどんな人か」
代表者の情報も欠かせません。誰がどんな経緯で創業したのか、現在代表をつとめる人は誰で、どんな考え方で経営を行っているのか。これまでどんな経歴をたどってきた人なのか。形式的な挨拶やメッセージ文ではなく、大切なのは、トップの人となりや考え方、価値観が伝わることです。
<コンテンツ例>
・トップメッセージ(一人称コラム)
・トップインタビュー
・有識者との対談、座談会
・メンバーとの座談会
・代表の個人SNS
Q:経営者は個人SNSをやるべきか?
SNSアカウントを持つのが当たり前の時代……と思われがちですが、SNSでの発信を積極的に行っていない経営者の方も一定数います。個人SNSの発信にはそれなりにリスクもありますので、各プラットフォームの空気感とリスクを理解したうえで、本腰を入れて継続的な発信に取り組むのでなければ、あまりおすすめしません。
キーワード3:「どんな事業を展開しているのか」
事業内容を具体的にイメージできるコンテンツも用意しておきましょう。
<コンテンツ例>
・事業内容の説明
・ユーザー事例
・それぞれの職種ごとの社員インタビュー
キーワード4:「一緒に働くメンバーはどんな人たちか」
入社したらどんな人たちと働くことになるのか、メンバーの情報もマストです。社員が登場するコンテンツをつくるときに最も大事なのは、エピソードの面白さよりも、社内の雰囲気や、どんなタイプの人たちが集まっているのかが伝わること。テキストだけではなく、社内の日常的なスナップ写真や、動画などを組み合わせるとより効果的です。
<コンテンツ例>
・社員インタビュー(基本は募集している職種に合わせる)
・社員名鑑的なもの(ひとことプロフィールなど)
・社員座談会(雰囲気を伝えるには、インタビューより座談会が有効な場合もある)
・個人SNS
Q:社員の個人情報をどこまでオープンにするか?
応募する側としては、働く人たちの顔や名前、普段使っているSNSアカウントなどが事前にわかった方が安心であることは間違いありません。ただ当然のことながら、実名や顔写真、勤め先などの個人情報をインターネット上で公開することには、リスクもあります。
メンバー情報を伝えるコンテンツの形式は、実名顔出しのインタビューがすべてではありません。大事なのはあくまでも「社内の雰囲気が伝わること」。似顔絵イラストを活用する、本名は出さずに音声コンテンツを利用してコミュニケーションの温度感を伝えるなど、他の手段も合わせて検討することをおすすめします。
キーワード5:「どんな価値観が大切にされているか」
会社としての価値観が色濃くあらわれるコンテンツは、例えばどんな福利厚生や制度があるのか、働き方の自由度はどの程度あるのか、どんな社会貢献活動に取り組んでいるかなどです。入社するメンバーにどんなことを求めるか、理想の人物像を伝えるのも重要です。
<コンテンツ例>
・働き方のバリエーション
・福利厚生、制度の説明
・その他、会社として取り組んでいること(活動内容/背景など)
・求める人物像(理想に近いタイプの社員インタビューなど)
Q:「こんな人は合わない」と、はっきり伝えることも時には重要?
採用において、最も避けたいのは「自社にミスマッチな人の応募・採用」だと思います。そのために求める人材像を言語化して伝えるのも大事ですが、逆に「こういうタイプの人は、今のタイミングでは合わないかも」と、マッチしない人物像をはっきり提示するのも効果があります。
キーワード6:「現状、抱えている課題はなにか」
今は情報を受け取る側のリテラシーが高くなっていることもあり、表面的に何となくいい雰囲気につくろった発信をしていても、誰にも何も刺さりません。人数の少ない中小企業や、ベンチャー、スタートアップの採用においてはとくに、会社として今どんな課題を抱えているのか、それをクリアするためにどんなスキルを持った人を求めているのか、はっきり開示してしまった方がプラスになる可能性があります。
<コンテンツ例>
・今会社として注力していること
・今の会社に足りていないこと、クリアしたい課題
・求める人物像
まとめ
6つのキーワード、コンテンツとして網羅できていたでしょうか? 採用活動におけるミスマッチを減らし、自社の課題にマッチした人と出会うために、定期的にチェックしてコンテンツ内容を見直しをしてみてください。
1:「会社として目指していること」
2:「会社のトップはどんな人か」
3:「どんな事業を展開しているのか」
4:「一緒に働くメンバーはどんな人たちか」
5:「どんな価値観が大切にされているか」
6:「現状、抱えている課題はなにか」
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