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年末年始にゆっくり考えたい、ライター・編集者の「キャリアの広げ方・深め方」の話【後編/中堅時代編】

こんにちは、PR/広報領域で活動しているライターの大島悠です。「ライター・編集者のキャリア」について、年末年始のこのタイミングで改めて考えてみています。前編では自分の駆け出し時代のことを振り返りながら、キャリアの「広げ方」について書きました。

後編では、まさに自分も直面しているキャリアの「深め方」、中堅(10年選手〜)以降の歩み方について、いまぼんやりと頭にあることをみなさんとシェアしてみたいと思います。

 

実務経験10年以降のキャリアを考える

 

まずはじめに、基本的なところを。キャリアの深め方も、前編で触れた「広げ方」と、重要なポイントは同じだと思っています。

1)「自分は何のプロなのか」をひとことで説明できるようにしておく
2)「誰に」「どんな価値を提供できるのか」「どう役立てるのか」を明確にしておく

私の場合、この(1)と(2)がうまく伝わって、ある程度、安定的に仕事ができるようになったのは4-5年目くらいだったと思います。ただ、やはりさらに経験を積んで歳を重ねていくうちに、また次をどうするか考えなければいけないな……と思うようになりました。

このフェーズで考えはじめた「次」のステップとは、手を広げることではなく、レイヤーを上げて専門領域について深堀りしていくことでした。できれば何段階か。そこでまた、新たに(1)と(2)を用意する必要があるな、と考えるようになりました。

正直、わたし自身も現在進行形でまだまだ模索中であり、トライ&エラーを繰り返しているこの5年ほどは、どちらかというと迷走気味だった期間のほうが長いくらいです。

ライターや編集者の、30代後半以降のキャリアの深め方。なかなか難しい。とはいえ、いろいろトライした結果、なんとなく見えてきたキーワードがいくつかあります。それがこちら。

1)特定のジャンルに特化する
2)企業内ライター・編集者として責任範囲を広げる
3)クライアントを経営層に絞る
4)特定の職能を横展開する
5)起業する(コンサルティング、編集プロダクション、制作会社etc.)

それぞれ、詳しく説明していきますね。

 

1)特定のジャンルに特化する

 

一口にPR/広報領域で活動する「ライター」「編集者」といっても、その仕事ジャンルは多岐にわたります。それは以前、こちらのコンテンツでもカテゴライズして詳しくご紹介しました。

▲「PR/広報×ライティング・編集の仕事をカテゴライズしてみる」より

 

社内報の制作、コンテンツマーケティング、採用広報など、企業側のニーズが高い領域も多々あるため、だんだんとどこか特定のジャンルに専門特化していく道が、いちばんオーソドックスかもしれません。(たぶん)

修行するために、自分が特化しようとしている領域の会社に何年か勤めるのもありですよね。採用やマーケティングなどと比べると市場は狭いですが、UXライティングなどの新しい分野や、テクニカルライティングなどのニッチな領域にも可能性があります。

 

2)企業内ライター・編集者として責任範囲を広げる

 

最近、「トナリノ広報部」に登録してくれているメンバーのみなさんのお仕事の話を聞いていて感じるのが、「フリーランス1本でやっている人、減ったな」ということです。フリーライターとして活動しながら、事業会社の広報担当をしているとか、フリーはフリーでも、複数の会社と長期契約して情報発信を担っているとか。(私自身も、今それに近い状態ではあります)

外注ライターとして単発で仕事をするところから、もう一歩、社内に踏み込むイメージ。正社員としてがっつり組織に参画する道もあるでしょうし、長期契約で何かしらのミッションを遂行する方法もあります。

単発の仕事をメインに受けるフリーライターでいる限り、「コンテンツを作って納める」以上の成果を求められる機会は、あまりないのが実情です。そこから責任範囲を広げ、長期コミットすることで企業に貢献する。そこで一段階、仕事のレイヤーを上げることができると考えています。

特にここ数年は中小企業、スタートアップなど小規模な組織の情報発信をするために、ライティングや編集スキルのある人材が求められているケースが多いように思います。

 

3)クライアントを経営層に絞る

 

少々難易度の高い方法ですが、提供するサービスを経営層に絞ったものにしていく道もあると思います。情報発信したくても忙しくて難しい、という経営者の方は大勢いるものです。インタビュアーとして定期的な壁打ち相手になる、聞いた話をテキストにまとめて発信する、トップメッセージ作成や外部寄稿などをサポートする、書籍をつくるなど、経営層に必要とされる仕事は多々あります。

もちろん、そのためには自分自身もそれなりの見識やスキルを身につけていく必要があります。ただ年齢を重ねても若手に流れにくい領域の仕事であるため、そのハードルを乗り越える価値はあると思います。

 

4)特定の職能を横展開する

 

私はライターの職能の基本は①聞く、②整理する、③書く、の3つだと思っているのですが、ここ数年で、「聞く」と「整理する」の比重が大きくなってきているのを感じています。極端な話、ライターの私に依頼をいただくのに「書く」パートはない、みたいなこともあります。(壁打ち相手としてのニーズ、問いを立てて話を整理する役割など)

時代の流れが大きく変わってきていることがひとつの要因だと思うのですが、例えば近年、オンラインカウンセリングや社外メンターなど、「人の話を聞く」サービスを提供する企業が増えていますよね。そうした領域で、「聞く」「整理する」プロであるライターや編集者の職能が、活かせる道がいろいろとあるのではないかと思っています。

ここはまだまだこれからの領域だと思うので、今後、私自身もいろいろと可能性を模索していきたいところです。

 

5)起業する(コンサルティング、編集プロダクション、制作会社etc.)

 

わかりやすいステップとして「起業」もありますよね。会社を経営している先輩方をみていると、単独で活動したいならコンサルティング寄り、チームで制作を請け負っていくなら編プロや制作会社寄りになっていくのかな、という印象があります。

 

 

まだまだ案中模索。ライターの明日はどっちだ

 

偉そうに「キャリアの深め方」の話をしてきましたが、わたしもまだまだ模索中の身。キャリア10年目を目前に、今後の自分の身の振り方を、じっくり考えている真っ最中です。

ただ個人的に、PR/広報領域のライターや編集者の仕事は、わかりやすく一般的なロールモデルがないだけで、さまざまな可能性があると思っています。これからもその可能性を、コミュニティの活動や自分自身の仕事を通じて探っていこうと思います。

 

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