日々の仕事が忙しくて、なかなか本を読む時間がとれない……という方、多いのではないでしょうか。今回はコミュニティ内で、「アクティブ・ブック・ダイアローグ®」という読書手法を応用し、複数人で1冊の本を分担して読み、その内容をシェアし合う形式の読書会を試しに開催してみることにしました。
コミュニティ内で、もっと気軽に集まって雑談する機会をつくれないか? と考えていたのですが、ただ「雑談しましょう!」といっても、テーマ設定やきっかけづくりの難しさを感じていました。
「アクティブ・ブック・ダイアローグ®(ABD)」とは
以前、参加させてもらった別のABDの会にて、「みんなで同じ本を読む時間をつくり、その内容を起点としていろいろ雑談をしている」というお話を聞き、そういう場としても機能するのかと思い、わたしたちもやってみることにしました。
ABDの正式な流れについては、公式サイトをご参照ください。(実施マニュアルもあります)
今回はランチタイム1時間でさくっと開催できるよう、このABDの手法をぎゅっと凝縮して応用させてもらいました。
今回選んだ一冊
『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』三宅香帆 著(2019)
2024年発売『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』のヒットで注目を集め、さまざまな媒体で大活躍中の著者・三宅香帆さん。
三宅さんはタイトルにある通り「文芸オタク」であり、本書では明治時代の文豪から現代の作家、エッセイスト、ミュージシャン、インフルエンサーまで、さまざまな人の「文体」を鋭い視点とユニークな表現でみごとに言語化しています。
各章が短めかつ読みやすい構成なので、書き手のみなさんに気軽に参加いただき、「文体」についての雑談ができればと考えて選びました。
当日の流れ
一般的なABDでは、章など区切りのいいところで読むパートを分担し、1冊を読んでいくことが多いようです。今回、選んだ『文芸オタクの私が教える バズる文章教室』は、さまざまな人の文章を分析したもので、1人あたり5-6ページくらいのボリューム。
今回はできるだけ気軽な集まりにしたく、ランチタイム1時間におさめたかったので、1冊まるごとではなく、気になる人を1人選んで、サマリー(要約)をさくっとつくってもらうことにしました。

当日みなさんと共有した内容

サンプルで作成したサマリー。しいたけ占いで有名な「しいたけさん」の文章を分析した内容
今回、ほとんどの人がはじめてABDに参加するとのことでしたので、時間配分には悩みましたが、以下のように設定しました。(ちなみに当日参加者は4名。これでちょうどよかったかも)
-
読む箇所を選んで要約し、スライドに記入する(15分)
-
要約した内容を、順番に参加者全員に伝える(各2分)
ちなみに(みなさんどの作家さんを選ぶんだろう?)というのにも、ひそやかに興味を寄せていました。一応、かぶらないように最初に調整。
<みなさんが選んだ人・文体>
-
[名詞止めモデル]綿矢りさの簡潔力|語尾をぶった切る。
-
[フォロー先行モデル]こんまりの豪語力|アンチに対するフォローを入れておく。
-
[永世中立モデル]岸正彦の中立力|綺麗事と現実を、交互に出す。
-
[片仮名強調モデル]俵万智の合図力|カタカナで注目させる。
選び方も人それぞれで面白かったです。「気になる作家だから」「モデルが気になったから」「昔読んだことがあるから」などなど。
みんなで読んだ本を起点に、雑談が広がった
ABDのいちばんの醍醐味は、読んだ内容をもとに参加者のみなさんとお話すること。開催する前はどうなるか未知数の部分もありましたが、結果、とても楽しかったです!
トナリノ広報部は、ライターや編集者、広報の仕事をしている人たちの集まりなので、普段の仕事と絡めた話が盛り上がりました。
-
企業の情報発信(テキストコンテンツの制作)にも応用できる
-
読み手にどういう印象を与えたいかによって使い分ける必要がある
-
このテクニックはこういう意図で使えばいいのか、という気づきになった
ただただ「文体について話しましょう!」という形で交流会を開催していたら、何からどう話していいかわからなかったかもしれません。
本の内容を参加者全員で共有したことで、その内容を起点とした気づきを得たり、普段の仕事の悩みとリンクして問いにつながったりと、短い時間でしたがとても充実したお話ができました。
参加者のみなさんからもとても好評いただきましたので、また次もそう遠くないうちに開催したいと思います。
何しろ気になる本は無限にあるのですから……。