トナリノ広報部では、定期的にイベントや勉強会をおこなっています。このアーカイブ記事は、勉強会「 『会社の情報発信』、どんな視点でチェックしてる? 」の様子を記録したものです。
今回の勉強会では、会社の情報発信をする際に気をつけているポイントについて、社内・社外から発信に携わった経験を持ち寄り、話し合いました。
発信の際に、いつもチェックしているポイント
普段、会社の情報発信をするうえで、みなさんが気をつけているポイントには、どのようなものがあるのか。参加者全員でリストアップしてきました。
●注意していること
- 【企画編集の考え方】
・コンテンツを出す目的、伝えたい相手が定まっているか確認する
・1コンテンツ1目的に絞る
・文字数などは、サイトデザインに合うかどうかも配慮する
・会社と一切関係のない人が見ても伝わるかを考え、発信者に寄りすぎないフラットな視点を意識する
・目的に応じて文体を変える
・コンテンツのメッセージが明確か、目的に対して機能するかを考える
・配信先が適切かどうかチェックする(例えば、SNSでも、TwitterとInstagramでは受け入れられやすい文体が違う)
・制作したコンテンツが、その企業のビジョンやミッションとマッチしているか確認する
・会社のブランディングのために、守るべき文体や表現があるかあらかじめ聞いておく。法人格としての文体のテンションを合わせる
・自分の言いたいことではなく、読者の利益を優先する
・財務など情報に寄った内容でも、社会的な意味づけやエモーショナルな情報を加える
・自社だけでなく、業界事情も伝える
・疑問や興味を持ってもらえるような、コミュニケーションのきっかけになる仕掛けを考える
- 【書き方の技術】
・主観的な内容な場合は、はっきりそうだとわかるように記述する
・事実と感想を切り分ける
・比較対象を出す場合は、何と、どんな点が、どう違うのか具体的に述べる
・読み手がほしいはずの結論は、冒頭に持ってくる
・固有名詞や日時が正しいかチェックする
・日本語の誤用がないかチェックする
・文全体での表記の統一ができているかチェックする
・データは必ずファクトチェックをする
・データや情報は最新のものを使うようにする
・呼称をあらかじめ確認しておく(「さん」「先生」「氏」?)
●できるだけ避けていること
- 【企画編集の考え方】
・「何かを発信したい」が目的にならないようにする。読者にメリットがないのであれば、発信する以外の部分に労力を使うことも検討する
・対外的に発信するのであれば、極端な内輪ネタなど含め、社内だけが盛り上がるような内容は避ける
・差別的な内容が含まれてしまうのを避ける。そのために、複数人でチェックする
・誰かを排除するような表現は避ける(例:「親子」「パパママ」→「保護者」など)
・自画自賛を避ける
・「何かを言っているようで、何も言っていない」「そうじゃない会社、ある?」と思われるようなことは書かない
・アピールしたいあまり、大きくて目立つ数字になるよう盛ってしまうことは避ける。数字を使うのであれば、事実に違わず、かつ会社の強みがわかる的確な数字にする。
- 【書き方の技術】
・なんとなくでタイトルをつけない。伝えたいキーワードが入っているか、ターゲットに刺さる内容になっているかを考える
・全体が主観になってしまうのを避ける。そのために、形容詞をあまり使わないようにする
・やたらと他社に言及しない
・説明しすぎて長くならないようにする
・出版・広報関係の人が読んで、「まだまだだな」思うような表記はしない(3点リーダは2つセットにするなど)
・通説を、事実として断定するのは避ける
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こうして眺めてみると、普段みなさんがチェックしているポイントの多さがよくわかります。目的や発信手段に応じて、さらに項目は増えうるのではないでしょうか。
参加者の方も話されていたように、企業の情報を的確に発信するのはとても労力のかかること。しかし、失敗がないのが大前提になりがちな広報の仕事は、なかなかその「失敗しない」ことの重要性や難しさが理解されにくかったり、短期的なわかりやすい成果を同時に期待されたりする傾向があるように思います。
そのような状況の中で、自社、あるいはサポートしている会社によい影響をもたらせるよう試行錯誤している点は、社内で広報をしている方も、社外から関与している方も同じなのではないかと感じた勉強会でした。
みなさんが気前よく経験を共有してくださった今回の勉強会で、惜しむらくは時間が足りなくなってしまったこと……! 「さらにじっくり話をしたかった」とのお声もいただいたので、ぜひ今後の勉強会の企画に活かせたらと思います。
参加者の方より
社内外(フリーランス or 事業会社内の担当者)、両方の意見が聞けて参考になった
自分が手探りでやってきたこと、モヤモヤしていたことが、他の人にとっても共通の悩みだったことがわかって励みになった
普段なかなか(企業の情報発信について)具体的な話を共有する機会がなかったので、楽しく有意義な時間だった